ユニバーサル農園の実現に向けて

先日、国において今後の農福連携の方向性を示す「農福連携等推進ビジョン」が改定されました。今回の改訂において、初めて「ユニバーサル農園の普及・拡大」が盛り込まれました。

当ビジョンにおいてユニバーサル農園は、「障害者のみならず、生活困窮者、ひきこもりなど多様な方々を対象として、農業体験活動を通じた交流・参画の場を提供するとともに、メンタルヘルスの問題を抱える者等の精神的健康の確保、働きづらさや生きづらさを感じている者への職業訓練・立ち直りの場の提供など、社会的課題の解決につながる場」と定義されています(抜粋)。

「とりわけ人口が集中する都市部において、そのような場としての役割が期待される」としています。

ディーセント・ファーム かしわら は、2020年4月、柏原市でぶどう農家として新規参入して以来、5年目を迎えました。誰もが働きがいのある生産的な仕事「ディーセント・ワーク」を実現する「ユニバーサル農園」をめざしてその整備を進めてきました。

まだまだ途上ではありますが、4つの目標を掲げて取り組んでいます。

①経済的な働き方を実現する生産性ある農園

ぶどう農園をデラウエア中心から収益性のあるシャインマスカットなど大粒系へ抜本的に改植しています。デラウエアなどを30本伐採し、苗木を順次植え替えています。苗木が育ち、収穫できるまでの4年間の収入確保が課題です。

また、露地栽培では雨による病気の広がりが懸念されます。生産性を向上するため、ぶどう棚を付け替えてビニール屋根を順次被覆しています。多額の設置財源の捻出が課題です。

その解決にも資するよう、本年1月より竹炭づくりを新たな事業として実施しています。村上財団さまやクラウドファンディングによるご寄付により、800度まで温度調整可能な製炭炉を設置しました。

本事業は、生活困窮者の方々などに放置竹林の伐採をしていただき、高品質な竹炭をつくり、炭のパッケージなどを障がい者の方々の仕事とします。近々販売用のECサイトを開設します。

②障がいのある方や引きこもりの方、がん患者さんなど多くの方々に農作業を通じて、楽しみ・憩いの場を提供します。

2022年5月より体験農園を運営してきました。さらにエリアを拡幅するため、隣接する耕作放棄地の農園整備工事を行いました。本年4月から約3000㎡の農地を体験農園エリアとして、多くの方々に農作業を楽しむ機会を提供します。

③段差のないバリアフリーな農園を目指します。

ぶどう農園の段差解消工事を行い、車椅子でぶどう狩をできるようアクセスできる道を新たに設置しました。

道には砂利を敷いていますが、さらなる改善が必要です。一つひとつ進めていきます。

④ 環境に優しい資源循環型の農園を実現します。

バイオ炭により農地を肥沃にして化学肥料などを節減できるエコな農園とします。園内にはバイオトイレを設置しました。

以上の4点の目標を一つひとつ進めながら、ユニバーサル農園の実現に向けて進めていきます。

まだまだ途上ですが、その実現には多額の財源や支援ノウハウの習得、地域コミュニティとの連携など数多くの課題があります。

農福連携を研究する立場からも、実践する中で見えてくる課題解決に向け「ユニバーサル農園実現について」をテーマとする論文を発表していきます。

 

  段差解消して新たに設置したぶどう棚

ぶどう棚へのアクセス道

ぶどう狩

体験農園の様子

拡幅した体験農園

バイオトイレ

大阪・かしわら竹炭プロジェクト

製炭炉(むろいけ園地)

第19回食育推進全国大会(ATC)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次の記事

バイオ炭の効果