1本5000 円のレンコンがバカ売れする理由 野口憲一 新潮新書
2022.1.15
「1本5000 円のレンコンがバカ売れする理由」の筆者である野口氏は、大正時代から続く茨城県のレンコン農家で育ち、社会学の博士号を取得されています。
大学で講師をされていましたが、2005年からレンコン農家としても、新しい発想で農業経営に取り組んでいます。
その最大の特徴が「1本5000 円のレンコン」です。
農業経営に必要なのは、顧客ニーズに応える「マーケット・イン」とされますが、野口氏は、卸売業者や外食産業などからの要望に応えるだけでは、販売価格は抑えられ、かたちや大きさを整えるだけでなく、見栄えを整えるためパッケージに詰めることまで求められるとします。
農業にはやり甲斐をはじめ、自然の中で働くことによる癒しや豊かな人間関係の構築など「多様な効用」がありますが、それを良しとして、販売価格が抑えられていることを”やり甲斐搾取”としています。
そこで野口氏は、大正時代から生産している「伝統」と「実績」、優れたパッケージなどの「デザイン性」に加え、独自の販路を確保することなどにより、最も美味しいとされる土付きの掘りたてレンコンの「商品価値」を高めます。
その結果、自ら販売価格を設定した1本5000円のレンコンが飛ぶように売れる様子が著されています。
社会学の博士号を有している理論的なバックボーンの上に、実績に裏付けられた経営戦略はとても刺激的でした。
ディーセント・ファーム かしわらとしても、いいぶどうをつくって、しっかりと利益を上げ、障がい者の方々たちの収入として還元する。
そのためにはどうしたらいいのかという戦略を考える上で、とても示唆に富んだ本でした。
1房5000円のシャインマスカットや巨峰などが売れることを目標に頑張ります。